ラノベレビュー #4「夏海紗音と不思議な世界1」
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若者向けのボーイミーツガール | ||||||||||
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概要
第21回ファンタジア大賞においてもっとも読者の支持を集めた作品に送られる「読者賞」受賞作品。
また著者の直江ヒロト氏はファンタジア文庫20周年企画「ネクストファンタジア大賞」でも別作品で金賞を受賞。
W受賞という稀に見る快挙を成し遂げている。イラストの水沢深森氏は2008年、2009年と1作ずつ美少女ゲームのキャラクターデザイン及び一部原画を担当。 その他MF文庫Jやガガガ文庫でもイラストを担当した実績がある。
あらすじ
「探検隊員。ただ今ボシュー中。未経験者OKよ」それが夏海紗音との出会いだった。第一印象は変な女。
好奇心と下心で彼女についていく凪沙悠馬。彼は気付かなかった。このとき既に彼は紗音の能力によって重複世界に誘拐されていたことを。
そしてそれから始まる世界を破滅の危機から救う旅のことを。総評
身も蓋もない言い方をしてしまえば「涼宮ハルヒの憂鬱」的な作品だ。模倣ではなくあくまで方向性の話なので誤解されないように。あまり結びつけるのもよくないと思うが理由は、ヒロインが人に言えない孤独を抱えていること、ヒロインが仲間を募集すること、 ヒロインが世界を変えてしまうほどの特別な力を有していること、物語が主人公の一人称でかつ妙に饒舌なことなどだ。
物語のほとんどは海の上で繰り広げられる。必然的に船に関する話が多くなるわけだが、専門用語が多く特に帆船の操作などイメージが思い浮かばなかった。 航海術に関する知識がある程度あった方が楽しめるのかもしれない。
ヒロインでありタイトルにもなっている夏海紗音(なつみしゃのん)はなかなか魅力的だ。 強引なところがあり船長として高い能力を発揮する反面、漢字が苦手だったり作中で他の女の子キャラに人気投票で負けるなど情けない部分が彼女を引き立てている。
紗音の他に3人の女の子が登場するが、彼女たちは個性的ではあるものの紗音の引き立て役であることは否めない。 しかし続刊でキャラクター掘り下げられれば状況は変わるだろう。
本作における主人公のモノローグが占める割合は比較的大きく、評価は主人公に共感できるかどうかによって大きく変る。 Amazonの評価は高かったが、残念ながら筆者はそこまで共感することはできず厳しめの評価になってしまった。 若者が抱える孤独や人との接し方、距離感についてメッセージ性を感じたが、共感を覚えるには読者にも若者の心が必要なのかもしれない。
タイトルに「1」とあるが、彼らの冒険はひとまず終着駅に辿り着いている。 どのような展開で続刊を刊行するのかは気になるところだ。
項目別評価
イラストただ舞台となる船のイラストなどがあれば、もっとしっかりとしたイメージを持って読むことができただろう。
キャラクターしかし紗音以外の心情はあまり描かれておらず、内面に関しては掴みきれていない部分が多いので様子見という意味でこの評価になった。
読みやすさ
文章力
ストーリー冒険活劇として見た場合もそれほど大きな困難はなく、機転を利かして乗り切ったわけでもないので、あくまでボーイ・ミーツ・ガールストーリーとして読むべきである。

