1月22日 ラノベレビュー #1「バカとテストと召喚獣」




バカとテストと召喚獣 (ファミ通文庫)
バカとテストと召喚獣 (ファミ通文庫)井上堅二 

エンターブレイン 2007-01-29
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当サイトのおすすめ度
★★★★☆
湿っぽい話が嫌いで、軽いノリが好きな人におすすめ







イラスト★★★★☆
キャラクター★★★★★
読みやすさ★★★★★
文章力★★★★☆
ストーリー★★★☆☆

概要
 2009年の時点で「文学少女」シリーズと並んでファミ通文庫の看板的作品となっている「バカとテストと召喚獣」の第1巻。第8回えんため大賞編集部特別賞受賞作。愛称は「バカテス」。
 2010年1月よりテレビアニメが放送されている他、少年エースで漫画が連載されるなどメディアミックス展開されている。
あらすじ
 吉井明久の通う文月学園では、進級テストの成績によりクラス分けが行われる。最上位のAクラスはリクライニングシートや冷暖房完備と最高の設備で授業を受けられるが、最下位のFクラスでは壊れかけた卓袱台と腐った畳だけ。
 バカである明久がFクラスに振り分けされたのは当然だが、明久が想いを寄せる姫路瑞希は本来であればAクラスの実力者。明久は瑞希の為にクラス代表の坂本雄二をたきつけ、上位クラスに教室を賭けた対クラス戦争を始める。
 文月学園の対クラス戦争、それは学園が開発した試験召喚獣による「試験召喚戦争」だった!
総評
 自分が購入した時点で既に第16刷を数えており人気の高さが伺える。昨年放送終了した生徒会の一存のテレビアニメ第3話においても美夏が「バカテスとかアニメにぴったりだろ」と発言しており、アニメ化は時間の問題だったようだ。

 テレビアニメにおける1~2話に相当するが、テレビアニメ版では尺の関係かいくつかのエピソードが省略されたほか、召喚戦争の内容も変更されている。作品の方向性を大きく損なうものではないものの、召喚戦争の駆け引き的なものがほぼ描かれていないので、テレビアニメより本作の方が内容が濃いと言える。

 本作はタイトル通り「バカ」と「テスト」と「召喚獣」をテーマにしているが、実際のところ本作の魅力となっているのは「バカ」な主人公の明久のキャラクターと、それを取り巻くキャラクターの個性であり「テスト」と「召喚獣」の部分はそれを動かすための舞台にすぎない。そこを勘違いして召喚戦争における戦略や戦術に期待すると、期待はずれという答えを出してしまうので注意したい。

 全編を通して明るく、頻繁にボケとツッコミが入る楽しい作品になっている。どのキャラクターも嫌味がなく気持ちよく読了することができた。

 特に主人公明久のバカで明るいところが爽快で、この作品のカラーとなっている。ラブコメではあるものの、萌えや気恥しさを楽しむというよりはバカ騒ぎを楽しむ、そんな作品だ。

項目別評価
★★★★☆イラスト
 表紙はメインヒロインの姫路でライトノベルらしい仕上がりになっている。
 巻頭には8Pのカラー漫画を掲載。丁寧かつ安定感のある作画で満足度も高い。
 本編イラストについては十分なクオリティではあるものの、あまり描き込みやトーンワークに力が入ったものではないので、表紙や巻頭漫画と比べて若干見劣りするかもしれない。
★★★★★キャラクター
 アニメ版とほとんど変わらないキャラクターデザインは完成度の高さを感じる。
 内面についてはどのキャラも個性的で魅力的。明るいキャラが多いのも作品の楽しさに直結している。
 ただ女性キャラより男性キャラに力を入れて描写しているので、ハーレム的なものは過度に期待しない方がよい。
★★★★★読みやすさ
 ライトノベルの中でも読みやすい部類に入ると思われる。パロディネタも少ないので読者の年齢層等も問わない。
 全部で10章構成になっており、間に入る「バカテスト」がいい息抜きになっている点も評価したい。
★★★★☆文章力
 物語は吉井明久の一人称で展開する。明久の心情におけるツッコミの面白さが大きな魅力になっている。
 情景描写は細かくないが、舞台が学校なのでほとんどの読者は混乱せず読み進めることができるだろう。
 会話文はそれなりに多いが前述の通りキャラクターが個性的なので、会話の内容から誰の発言なのか容易に理解できる。
★★★☆☆ストーリー
 タイトルからして試験召喚戦争が大きな目玉のように見えてしまっているのに、そこまで生かしきれていない点はやや残念だ。人間関係ははっきりしており、そこに驚きなどはない。しかしそれはキャラクターを楽しむ上で読者として正しい視点であるとも言える。